SPORTS

2023.06.23

創部初!駅伝主将2人体制~三浦龍司選手と藤原優希選手が最終学年にかける想い~

2023年度の男子駅伝チームは三浦龍司選手と藤原優希選手の2人がキャプテンに就任しました。長い歴史をもつ本学の駅伝チームでもW主将制を敷くのは初めてのことです。今年1月の箱根駅伝で総合5位となった原動力である西澤侑真選手(現・トヨタ紡織)や伊豫田達弥選手(現・富士通)ら強力な世代が抜けてチームが生まれ変わる中、新チームの舵取りを担う2人のリーダーに今季にかける思いを聞きました。

創部初の駅伝主将2人体制に

――主将2人体制はどのような経緯で決まりましたか?

三浦 自分が最初はキャプテンに立候補していたのですが、大会等でチームを離れることが多い自分の状況を考えたときに、主将として至らない部分が多くでてきてしまうのではないかと思いました。そこで、お世話になっているメンタルトレーナーの方にも相談した結果、藤原に声をかけてみたんです。

藤原 三浦からキャプテンやってみないかという話があり、最初はもっと適任な人がいるんじゃないかって思いました(笑)。でもロード組、トラック組を分けたときに、ロード組のキャプテンとして適任じゃないかと長門監督にも言っていただき、キャプテンを引き受けようと思いました。

 

――2人はどんなタイプのキャプテンですか?お互いを紹介し合ってください

三浦 (藤原選手は)後輩たちと接点も多いですし、日常生活も含めて、気軽にコミュニケーションをとれるキャプテンですね。寮の中でもそういう姿をみているので、キャプテンとしての要素を持っている人だなと思います。

藤原 そうですね、気さくな感じにするようにはしていますね(笑)。(三浦選手は)キャプテンとしてすごくチームのことを常に考えています。自分のことだけではなくて、周りのこともみることができるタイプ。普段は力を抜くところは抜き、ちゃんとするところはして、メリハリがあります。

 

――主将としての業務のすみ分けはありますか?主将2人制の良さ、大変さはありますか?

三浦 特に業務を分けていることはありません。自分が指導することもありますし、藤原が気付いたときは、藤原が言うこともあります。大変さというのは今のところ感じていませんね。同じ目線で普段過ごしている人が2人いるというのは心強いというか。情報共有する時などに、『そうだよね』『もっとこうしたほうがいいんじゃない』など気軽に言えますし、考え方の大きなズレもなく受け入れやすいと感じます。

藤原 自分が足りないところを補ってもらえています。チームを見ていくうえで、情報共有することで、後輩からの声も2人できちんと聞けていると思います。

左:三浦 龍司選手、右:藤原 優希選手

2人の出会いは?

――2人は入学前からお互いを知っていましたか?

藤原 自分は中学のときから(三浦選手のことを)知っていました。中国(地方)大会で中学生のときに一緒に走ったことがあります。”島根の三浦”だけは別格でしたね。もちろん3000mでぶっちぎりでした。

三浦 そうだったんだ(笑)。同じ中国地方なのでどこかの大会でかぶってると思いましたが。僕がはじめて藤原を知ったのは高校の長野県の伊那駅伝。そのときは負けました。

 

――大学に入ったばかりのころと、今とでは第一印象は違いますか?

藤原 自分は中高のときは(三浦が)むちゃくちゃ恐い印象でした。坊主だし、目つきが鋭かったですし、寡黙な感じだったし(笑)。ただ入学して話してみたら気さくで、人当たり良くてびっくりしました。

三浦 (藤原選手は)入学したときはけっこう静かな感じの印象を受けましたが、1年生のときに(寮の)隣の隣の部屋だったかな、すごく交流があって、話してみたら、面白いやつだなと(笑)。印象はガラッと変わりましたね。けっこうはっちゃけるタイプでした。

藤原 最初(入学当初)は怖くて全然話かけることができなかったです。話しかけられても委縮しちゃって。高校3年生のとき、(順大入学が決まっていた)高校生5人ぐらいで箱根駅伝を一緒に見に行ったタイミングがありましたが、そのときも全く目を合わせられなくて(笑)

三浦 そのとき話しかけたけど、全然(話が)返ってこなかったです(笑)

自然と笑顔も溢れ信頼関係が滲み出る

順大で磨いてきたもの

――今の4年生は大学生活のほとんどが新型コロナウイルス禍でした。大変だったことや学べたことはありますか?

三浦 コロナが一番ひどかったときはチームで誰かが感染しただけで(試合に)出られませんでした。リスクマネジメント、コンディションのピーキングの重要さを感じた時期でしたね。ただ、その教訓があるから、チーム全体で気を付ける、チームのために動くという精神が根付いたかなと思います。

藤原 自分の身勝手な行動でチームに迷惑がかかるということで、自分の行動を考えないといけないなと思いました。実家に帰って練習をしないといけない時期もありましたが、自分で考えて練習することの大切さを感じることができました。

 

――4年生までを振り返って、順大で成長できる点はどんなところだと感じていますか?

藤原 “自分で考える力”が伸びたと思います。高校では練習メニューを監督に全部きっちり決めてもらっていました。順大では練習のだいたいの部分は決まっていますが、細かいところは“自分で考えて”やっていかないといけません。自分で考えて動いたり、練習に取り組んだり、そういう力が身に付くのは順大ならではだと思います。

三浦 藤原が言ったように、学生主体で動ける範囲がすごく大きいです。自分でメリハリをつけていかないと競技でも私生活でもだらけてしまいますし、スランプの時などに自分を見つめ直す時間があるのはいいことで、充実感や楽しさもあります。また、スポーツ系の学部だけあって、授業内容も陸上やスポーツに繋がることが多いので、それを活かせるのもいいことです。そのほかにも、キャンパス内には立派な400mの全天候型トラック、大学周辺にも合宿地やさまざまな練習場所があり、さらには大学の設備で自分のデータを収集できる環境も魅力の一つかなと思います。

コロナ禍でも順大でしっかり成長できたと語った2人

2人が考える“キャプテン”とは

――主将に就任し、3年生のときと気持ちの変化はありますか?

三浦 正直1~3年生のときはある程度(練習を)こなせばいいじゃないですが、少しいい加減であっても誰かに見られているという意識が足りなかったかもしれません。ただ、キャプテンになるといろんなところで、自分の行動や普段の何気ない言動がチームに影響すると感じるので、気を付けなければいけないと思うことが増えました。

藤原 三浦と同じで、”人から見られている”ということをすごく考えるようになりました。後輩から見てキャプテンとしてしっかりしないといけないし、手本になれる言動をしていかないといけないと思います。

 

――目指すキャプテン像はどんなものですか?

三浦 僕自身が目指しているのはチームスローガンでもある”風通しのいいチーム”です。上の学年が後輩に圧をかけることはしたくないというのがあります。強い後輩たちが入ってきているので、伸び伸びやってほしいですし、いいところを伸ばせる雰囲気作りをしていきたいです。

藤原 みんなを巻き込んで一緒になって上を目指していけるキャプテンでありたいです。まだまだ足りない部分があるので、いずれ背中で示せるキャプテンになりたいと思います。

 

――歴代のキャプテンってすごかったなって思いますか?

2人 そうですね!(即答)

 

――昨年度キャプテンの西澤侑真さんはどうでした?

三浦 日常生活から後輩にいろいろアドバイスしたり、厳しいところは厳しくするなど、メリハリのある先輩でした。それを一貫して続けられることもですが、なんといっても走りで決めるところはすごいと思いましたね。

藤原 まさに常に背中で示す、『ついて来い!』って感じで頼れるキャプテンでした。

三浦 龍司選手

最上級生に頼らないチーム作り

――昨年度は出雲駅伝で5位、全日本大学駅伝で4位、箱根駅伝で5位でした。昨年度を振り返っていかがでしたか?

藤原 自分は箱根しか関わっていなくて、先輩方が基本中心になってどのレースも走っていました。次は先輩みたいに引っ張って良い成績を出していけるようにしたいです。

三浦 自分は出雲駅伝に初めて出場し、三大駅伝を初めてすべて走りました。それぞれ戦い方も違って、各大学の仕上げ方も違う。一喜一憂することなく、すべて箱根に合わせられる戦い方をしないとけない難しさを感じました。藤原もいったように最終的に4年生だけに頼ってしまうレースになってしまったので、今年は4年生以外ももっとチームに貢献できるようにしないといけません。その中で自分たちが後輩に教えていきながら、力をつけてもらいたいので、自分たちがキャプテンになったからこそそこを求めていきたいです。

 

――西澤主将の他、伊豫田選手や四釜選手、野村選手ら強力な4年生が卒業しました

藤原 抜けたからマイナスではなく、強力な新入生も入ってきて、新しい力が加わりました。先輩が主要な試合に出てあまりチャンスが回ってこなかった部分がありましたが、今度は自分たちが大きな試合に出るチャンスだなとも思います。

藤原 優希選手

箱根駅伝は目標3位以内

――今年度のチームはどんな雰囲気ですか?

三浦 1、2年生のエネルギッシュさが色濃く出ていると思います。去年は先輩が強いから付いていく感じでしたが、今年はそれとは違います。特に(今年度の)1年生は楽しみな選手ばかり。そこにつられて2、3年生が伸びてくることが期待されます。”風通しのいいチーム”を目指していますし、2人キャプテンの利点を最大限活用しながら、トラックとロードという2つの軸で今まで無かったチームの強みを出していきたいです。

藤原 先輩、後輩の仲がすごく良くて、雰囲気がいいと思います。去年は4年生が力強く引っ張るチームでしたが、今年は1~4年生全員が貪欲にいい成績を目指せるような雰囲気であってほしいと思います。

 

――今年の目標はいかがですか?

三浦 トラックのざっくりとした目標はインカレでの優勝です。自分自身の目標としては、去年出場した世界選手権で果たせなかった決勝進出のところと、決勝進出して上位入賞というのは今年の第一の目標かなと思っています。箱根駅伝のチーム目標は3位以内です。

藤原 ロード組としての目標はハーフマラソンで1時間4分切りを20 人そろえるということです。(1時間4分切りは)まだ10人ぐらいですかね。(個人としては)箱根駅伝ではどの区間を任されても区間3位以内では走りたいと思います。

今年も”強者揃い”の駅伝チームを引っ張る2人の主将
この記事をSNSでシェアする

Series
シリーズ記事

健康のハナシ
アスリートに聞く!
データサイエンスの未来

KNOWLEDGE of
HEALTH

気になるキーワードをクリック。
思ってもみない知識に
巡りあえるかもしれません。