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2024.11.14
順天堂リレーエッセイ【Jバトン】「何か凄いものができたみたいですね。」
リレーエッセイ「Jバトン」は第9回を迎えます。前回は、長岡 功 医療科学部長に、先生ご自身の健康法について述べていただきました。 今回は、青木 茂樹 健康データサイエンス学部長にバトンが渡り、近年のAI技術の変化と「すごいもの」について記していただきました。
「先生、ChatGPTって凄いみたいですよ」と健康データサイエンス学部の若手の教官に言われて使ってみました。対話型のLLMは優秀で、「なんでも知っている、文句を言わない部下」と会話しつつ仕事ができる感覚は画期的でした。
小川理事長の「AIやビッグデータ、データサイエンスを扱う学部を検討せよ」というご指示と服部医学部長(当時)のアイディアで、まず医学研究科にデータサイエンスコースを作ることとなり、人材を集め始めたのが2019年。2021年4月には医学研究科に修士課程を開設し、2023年には浦安市日の出地区に健康データサイエンス学部をスタートしました。そしてつい先日、大学院が認可され、2025年度に修士・博士課程を開設します。学部の完成を待たずに大学院を開設したのは、進歩が速く走り続けることが重要と考えたからです。
そもそも、学生時代に同級生から「放射線科に何か凄いものが入るみたいよね」と言われて、面白そうだと入ってみたら、MRIがありました。まだ誰も見たことのないような画像がどんどん出て来て、雲の上の存在のように思っていた脳外科や神経内科の先生方が、「この撮り方は何か」等と聞いてくれるのです。凄いものの側に居て、新しいことを学べば、古いことを辞書のようにたくさん覚えなくとも良いのだと、進歩し続けることや研究の重要性を感じました。
その後も放射線領域では、MRIの拡散強調像、拡散テンソル白質路、画像統計解析、CTのCTAや多列CT等、想像もつかなかったイノベーションが続き、堀正明准教授(現東邦大主任教授)、鎌形先任准教授、和田准教授、萩原准教授らの努力で最先端に身を置き続けられました。
放射線画像はデジタル化が進んでいます。ビッグデータの活用のためCT・MRIのナショナルデータベースを作り、順天堂主幹で運営できるようにしました。隈丸、明石准教授の努力により毎年1億枚以上のデータが順大、北大、慶大、東大、京大、阪大、愛媛、九大等から届き、現在約5億枚も集まっています。
「習うより慣れろ」ということでAIに関するこの革新的な時期に、その中心となる学部に身を置けるという身に余る機会をいただいたことを心より感謝するとともに、『不断前進』の精神でさらなる努力を誓いました。
「何か凄いものができたみたいですね。」 「はい、順天堂の健康データサイエンス学部です。」