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2024.09.06

順天堂リレーエッセイ【Jバトン】第8回 「私の健康法:北アルプス夏山登山」

リレーエッセイ「Jバトン」は第8回を迎えます。前回は、京極 伸介保健医療学部長に、1970年大阪万博から現在までの変化について記していただきました。 今回は、長岡 功 医療科学部長にバトンが渡り、先生ご自身の健康法について述べていただきました。

この度、『順天堂だより』リレーエッセイ【Jバトン】の執筆依頼を頂きました。テーマは自由であり、「健康」、「国際社会」、「SDGs」、「時事」等があるということでしたので、私は「私の健康法」について述べることにいたします。

私は、北アルプス燕(つばくろ)岳(標高2,763m)の頂上稜線にある燕山荘(標高2,712m)に併設されている夏山診療所に、学生時代から毎年50 年以上登っています。登山口は中房温泉(1,462m)になり、そこから5.5kmの道のり(標高差1,250m)を約5時間かけて燕山荘を目指します(1km で約230m1時間で約250m の標高差を登ることになります)。このコースは、かつては小学生の集団登山にも使われ、初心者にも人気のコースですが、実は「北アルプス三大急登」の1つであり、決して楽に登れるコースではありません。したがって、行きはいつも普段の不摂生を後悔しながら登ることになります。また、帰りは、約3時間で急坂を駆け下りることになるので、登山口の中房温泉に着く頃には膝がガクガクになり、下山後、大腿四頭筋がパンパンに腫れて、階段を降りられなくなります(この時、おそらく血液クレアチンキナーゼ値が高くなっていると思われます)。

燕山荘と燕岳、はるか北方に立山、白馬岳、鹿島槍ヶ岳を望む

私にとって年1回の夏山登山ですが、登り下りで苦しい思いをしないために、なるべく普段から有酸素運動を行ったり、スクワット運動を行ったりして、心肺機能を維持し、足腰の筋肉を衰えさせないようにすることが私の健康法になります。おかげで、登りは相変わらずつらいですが、下山してからの筋肉痛はほとんどなくなりました。

ところで、順天堂大学の燕岳診療所は昭和28年に開設され、70年以上、夏期に約40日間診療活動を続けており、燕山荘に宿泊する登山客や、そこからさらに常念岳、槍ヶ岳を目指す登山客の手当を行っています。1シーズンに約100 名の患者さんが来られ、高地障害(急性高山病)が体調の悪くなる主な原因になります(約50%)。時には1時間以上かけて往診に行ったり、本人が自力で下山できない場合にはヘリコプターの出動を要請したりすることもあります。この診療活動は毎年、約90名の医師、100 名の看護師、250 名の医学生・看護学生(期間累計延人数)によって支えられており、順天堂大学医学部、長野県山岳遭難防止対策協会などの支援を受けて、医学部山岳診療部によって運営されています。

夏山診療の仲間たちと(はるか後方に標高3,000m以上の槍ヶ岳、穂高岳連峰を望む)
※本記事は学内報「順天堂だより」335号(2024年7月号)の「Jバトン(第8回)」の記事をもとに再構成したものです。記事の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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