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2023.09.28

順天堂リレーエッセイ【Jバトン】第2回 「努力は自分に味方する」 

リレーエッセイ「Jバトン」は第2回を迎えます。前回は新井一学長に新年度を迎えた順天堂の現状について記していただきました。 今回は、服部信孝医学部長・医学研究科長(神経学 主任教授)にバトンが渡り、研究する上で大事にしていること・このエッセイを読んでいる皆さんへメッセージをいただきました。

30年ほど前に私が大学院医学研究科博士課程を修了した時、とにかく頑張って研究成果を出さなければと思っていました。ほかの研究論文で博士の学位は取ったのですが、メインでやっていた研究の論文は完成していなかったからです。大学院の低学年時に臨床神経学領域で論文が採択されていましたので、二本目も更にトップジャーナルに発表しようと名古屋大学生化学第二講座で意気軒昂と研究をはじめました。しかし結果は散々で、研究論文が世に出るまでに約6年間かかりました。“非常につらかったなぁ”というのが私の大学院の思い出です。博士学位の主査は生化学第一講座の木南英紀教授(現学長特別補佐)でした。木南先生から主査として非常に難しい質問をされたあの時のことを、今もはっきりと覚えております。

服部教授

私は今もパーキンソン病の研究を続けていますが、学問を修める上で大事にしている言葉が2つあります。1つは、黒田官兵衛あらため黒田如水で知られる「水は方円の器に随う」という言葉です。流れるままにデータをしっかりと受け止め、素直にデータを見るということがこの言葉に通じると思い、今も大学院生とディスカッションする時に「このデータはどう考えるのか」と自問しています。決して偏見、或いは思い込み等で物事を解釈しない。これが研究を進める上で非常に大事であると思っています。そしてもう1つは、ルイ・パスツールの「幸運は準備された心のみに宿る」という言葉です。常になぜだろう、どうしてだろうと思い、研究する。また、難しい症例に遭遇したらどこが典型例と違うのか絶えず疑問を持つ。その探究心がとても大事であると思います。その心構えがあるから、ほんの少しの発見の糸口に気づくことができるのだと思います。

最後に、大事なのは、“人と人とのつながり”だと思います。このようなものを総合的に大事にしていくと未来は自分に微笑むと思いますし、“努力は自分に味方する”とも感じています。

どんな状況であっても多くのチャンスがあると信じています。ぜひ『不断前進』の気持ちで苦境に負けず、自分の夢や目標に向かって邁進してほしいと思います。

※本記事は学内報「順天堂だより」329号(2023年8月号)の「Jバトン(第2回)」の記事をもとに再構成したものです。記事の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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