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2023.04.28
AIによる画像認識の進歩とデータサイエンス【データサイエンスの未来】
本郷・お茶の水キャンパスのセンチュリ―タワーの入口は顔認識ソフトによりゲートの通過がなされ、IDカードの写真を元にマスクをしてでも(少なくとも私は)間違いなく認識してくれる。〔健康データサイエンス学部 学部長(大学院医学研究科放射線診断学 主任教授)青木茂樹〕
最近話題のChat GPTに『データサイエンスとは?』と聞くともっともらしい答えが返ってくる(図)。こういった物はほんの10年前には存在しませんでした。画像関連では、専門家の間でも「もしかしたらこういうことができるのかもしれない」と言われだしたのが2012年にトロント大学のHinton教授らのImageNetという深層学習 Deep Learningを用いた手法により今までよりも10%も認識率を上げてその手のコンペに優勝した時からです。その手法は画期的で、それから5年後には顔認識の専門家(鑑識など)の正解率を越える成績となりました。
深層学習は情報を入力すると何らかの答えを出すソフトウエア:『機械』を使います。それはまず答えを出して、出てくる答えが『教師データ』に近づくように内部のパラメータを自動調整するという作業を繰り返し行う方法です。脳を模したニューラルネットワークという学習の手法を用いており、それには情報を処理する多数の『ニューロン』があり、それらを結ぶ結合の強度を変えることにより、出力が『教師データ』に近づくように試行錯誤を繰り返し、学習していきます。たくさんのデータを用いてパラメータを調整し、徐々に正解を出せるような『機械』に仕上げていくわけです。パラメータを人が決めずに多数のデータから自動的に決めるようにしたこと、『ニューロン』を深層にして多くのパラメータを使うようにしたこと、それを扱えるコンピュータの進歩(GPUの開発と普及)が今回のAIブームのポイントと言われています。
データサイエンティストの定義はあいまいですが、『AIを開発し、駆使して社会実装を行う者』というものが多いようです。4月に順天堂大学浦安・日の出キャンパスに開設された健康データサイエンス学部は健康・医療に関わる人材を教育し、皆様、さらに出来ますれば日本全体、のお役に立てるように頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
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