MEDICAL

2022.02.07

つらい"慢性頭痛"。頭痛を防ぐためにできることとは?

現在、日本人の4人に1人が悩むという「頭痛」。頭痛症状を慢性的に繰り返したり、症状が続いて日常生活に支障をきたす頭痛を「慢性頭痛」と言います。(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 脳神経内科 教授 頼高朝子)

いろいろある“頭痛”。まずは検査を

頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛といった「一次性頭痛(慢性頭痛)」と、身体に何か原因があって引き起こされる「二次性頭痛」があります。

 
二次性頭痛には、くも膜下出血や脳動脈乖離などの脳疾患で引き起こされる頭痛のほか、緑内障のような目の病気や、副鼻腔炎などによって引き起こされる頭痛があります。また、絶食時や脱水時、潜水時や飛行機に乗った時に引き起こされる頭痛も、二次性頭痛と言われるものです。
このように頭痛にも色々あるため、まずは診察や血液検査、画像検査などで診断します。そのうえで、二次性頭痛の可能性がないと判断されて、初めて診断がつけられるのが「一次性頭痛(慢性頭痛)」となります。

「慢性頭痛」ってどんな頭痛?~種類と症状~

慢性頭痛には、大きく分けて「片頭痛」「群発頭痛」「緊張型頭痛」の3つの頭痛があります。
~順天堂医院脳神経内科ホームページ(https://www.juntendo-neurology.com/n-zutuu.html)より~

■片頭痛

若い女性に多く、前頭から側頭に脈を打つような強い頭痛が出現します。頭痛の起こる前には視野の中心が見えにくくなったり、キラキラと輝くものが見えるなどの前兆を伴うこともあります。いったん片頭痛発作が起こると、数時間から24時間ほど頭痛が続き、睡眠で改善する傾向があります。原因は脳血管が拡張することにあると言われていますが、空腹や運動、ストレス、食物(チョコレート、ナッツ、ワインなど)で誘発されることもあります。片頭痛は加齢とともに終息する傾向があるため、例外的な症例を除いて、一生発作が続くことはないといってよいでしょう。

■群発頭痛

片頭痛が女性に多いのに対し、本症は男性に多く見られます。20-40代に初発することが多く、片側の眼窩や前頭に灼熱感を伴い、えぐられるような鋭い痛みが出現します。数十分から数時間の頭痛発作が数週間にわたって連日のように出現し、1日に10回以上発作が出現する場合もあります。急性期を過ぎると頭痛は鎮静化し、数年間の周期で同様の頭痛発作が再燃する例もあります。本症の原因は不明ですが、血管拡張作用のあるもの(飲酒、血管拡張薬、ストレスなど)が発作の誘因となることが知られています。

■緊張型頭痛

頭痛の中で最も頻度が高く、主に中年以降の方に多くみられます。症状は持続性の締め付けられるような頭痛もしくは頭重感ですが、頭痛の程度が強い場合は嘔気などを伴うこともあります。原因としては、デスクワークやパソコンの使用で同じ姿勢を長くとる、眼精疲労、肉体疲労、睡眠不足などが挙げられます。また、心身ストレスや不安といった精神的な要素も関与することがしばしばあります。

慢性頭痛には、どんな治療があるの?

このような慢性頭痛の治療薬には、痛くなった時に使用する「急性期治療薬」と頻回の発作を予防する「予防薬」があります。また、生活に支障があるような頭痛が月3回以上ある場合には、予防治療を行ないます。
急性期治療薬は痛くなりはじめに使用すると効果的ですが、乱用することで逆に「薬物乱用頭痛」を引き起こしてしまうため注意が必要です。

頭痛を引き起こさないために
日々の生活で注意できることとは?

頭痛を引き起こさないように、日々の生活の中で注意できることはあるのでしょうか?
例えば食生活の面で、頭痛を誘発すると言われる食品を知っておくことも大切。中でも赤ワインやチーズ、サラミ、チョコレートなどは、頭痛を誘発する食べ物として有名です。また、頭痛の予兆として、甘いものが食べたくなることもあります。

<頭痛を誘発する食品>

・アルコール(赤ワイン)
・乳製品(チーズ)
・サラミ、ベーコンなど硝酸塩が含まれる食品
・グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)が含まれる食品
・柑橘類
・チョコレート

また、日常生活においても、激しい運動や睡眠不足、睡眠過多をはじめ、低気圧、光、温度変化なども頭痛の誘因となります。旅行も頭痛を誘発することがあるため、スケジュールをゆったりとしたものにすることをお勧めします。
適切な診断のもと、無理なく規則正しい生活をし、急性期治療薬と予防薬を組み合わせて“頭痛フリー”の生活を目指しましょう!

<関連リンク>
順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 脳神経内科
https://hosp-koshigaya.juntendo.ac.jp/departmentinformation/neurology/

Profile

頼高 朝子 YORITAKA Asako
順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院脳神経内科 教授

1987年福島県立医科大学医学部卒、1988年順天堂大学大学院医科学専攻(神経学)修了。臨床神経学、パーキンソン病が専門。日本内科学会内科専門医、日本神経学会認定神経内科専門医、日本神経学会指導医など。

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