MEDICAL

2022.02.25

たかが便秘、されど便秘。便秘予防に必要なこととは?

便秘外来を順天堂医院に開設して30年近くになりますが、患者の数が年々増えているように感じます。 厚労省の報告などでは、便秘の患者数は国内で800万~1,000万人と言われていますが、実際はもっと多くの患者さんがいらっしゃるのではないでしょうか。(大学院医学研究科病院管理学 教授 小林 弘幸)

便秘は女性に圧倒的に多いと言われていますが、60歳を超えたあたりから、男女比は一緒になり、80歳を超えると男性患者のほうが多い、という事実はあまり知られていません。また、糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病、うつ病などの患者はほぼ便秘に悩まされています。

 
では、なぜ便秘になるのでしょう。便秘のタイプは、大きく分けて2つのタイプに分類されます。癌などによる腸管の内部、もしくは外部からの腸管への圧迫により便秘になる器質性便秘と、便秘の原因のほとんどといわれる機能性便秘に分かれます。
機能性便秘の中には、高齢者に多くみられる弛緩性便秘、若年層に多くみられる直腸性便秘、それとストレス性便秘があります。しかしながら、最近ではコロナ禍のストレスを反映して、これらの混合型便秘が多くみられるのが特徴です。

では、便秘の原因は何なのでしょうか。単純に一言でまとめれば、便秘は腸管の蠕動(ぜんどう)不全、つまり、腸の動きが悪いこと、です。腸は2つの神経支配からなっています。

 
一つは腸管が独自に持っている内在神経、もう一つは腸管を外からコントロールしている外来神経、つまり自律神経です。この内在神経、自律神経の活動力は、ともに今ブームの腸内環境の良し悪しによるとも言われています。つまり、加齢に伴い自律神経機能が低下し、また腸内の有用菌(善玉菌)のビフィズス菌などが減少することにより、腸内環境が悪化して、腸管の蠕動運動を妨げる原因になっているのです。

 

では、どのように予防したら良いのでしょうか。腸管を鍛える方法は腸管の内からと外からと2つの方法があります。内から鍛える代表的な方法は食事です。腸内環境をよくする食事は、発酵食品と食物繊維の摂取です。発酵食品の種類を多くすることと、食物繊維を少なくとも1日20gは摂取することが望ましいと考えられています。

 
次に外からの刺激方法ですが、これは運動です。決して過度な運動は要求していません。1日、20分~30分のウォーキングで十分です。腸は、第二の脳ともいわれ、最近では認知症とも関係があると言われています。
腸を健康にして、ぜひ快適な毎日をお過ごしください。

※本記事は学内報「順天堂だより」320号(2022年新春号)の「順天堂健康塾(第17回)」の記事をもとに再構成したものです。記事の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

Profile

小林 弘幸 KOBAYASHI Hiroyuki
順天堂大学大学院医学研究科病院管理学 教授

1987年、順天堂大学医学部卒業。1992年、医学博士。アイルランド国立病院外科などを経て、2003年、順天堂大学医学部小児外科助教授。2006年、同大医学部病院管理学研究室教授に就任、総合診療科学講座教授を併任している。
専門は小児外科学、肝胆道疾患、便秘、Hirschsprung's病、泌尿生殖器疾患、外科免疫学。日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもある。

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