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2019.01.15
大学での「切磋琢磨」が生んだ美しく強い体操で東京五輪を目指す
2020年の東京五輪でのメダル獲得が期待されている男子体操団体。その舞台に立つ有力候補として活躍しているのが、萱和磨さん、千葉健太さん、谷川航さんの3人です。2018年は、萱さんと谷川さんが世界選手権で、千葉さんがアジア大会で日本代表として世界の強豪と戦い、男子団体競技の世界選手権銅メダル、アジア大会銀メダル獲得に貢献。また全日本体操団体選手権では大学で史上初となる3連覇を達成しました。3月に大学卒業を控え、次は東京五輪での金メダルを目指す3人に、順天堂大学での日々と今後の意気込みについて聞きました。
上下関係なくみんなで指摘し合える関係
- 同学年のみなさんですが、順天堂大学(以下、順大)に入学を決めたきっかけは何でしたか?
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萱
「僕が順大を知ったのは小学生の時です。順大で活躍する冨田洋之先生(体操競技:アテネ五輪 金メダリスト、北京五輪 銀メダリスト)を見て、憧れていました。だから、高校生になった時には自然と、大学は順大に行きたいな、と思うようになっていたんです。入学してみて、練習環境も合っていたと思います」
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谷川
「僕は小学1年生の頃からです。当時の体操クラブの先生が順大出身で、順大の試技会に連れて行ってもらったりしていて。それ以来、将来は順大で体操をやると、当たり前のように思っていました。強い選手がたくさんいる環境なので、そこに行けば自分も強くなれると思っていたんです」
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千葉
「順大の存在を知ったのは高校生の頃で、受験を意識したのが高校2年生の時です。2人と比べたら遅い決断だけど、そこから順大で体操をすることを考えてきました」
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- 3人は、入学以前からそれぞれの存在を知っていたのですか。
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谷川
「お互い代表選手だったりしたので、試合で一緒になることは多かったですし、練習で話すこともありました。それぞれが順大に行くっていうことは……(千葉選手、萱選手の顔を見て)」
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千葉
「何となく知っていたかな」
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萱
「話さなくても分かる、といった感じでしたね」
- 体操競技部の雰囲気はどうでしたか?
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萱
「体操競技部は、練習も自分でペースを守りつつ、自由にできるところがいいです」
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谷川
「僕は高校が市立船橋高校なのですが、体操競技部には同じ高校出身の先輩が多かったので、やりやすい環境でした」
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千葉
「僕は上下関係がしっかりある高校だったので、フレンドリーな感じだな、というのが第一印象でした」
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萱
「順大の体操競技部は、先輩・後輩という“上下関係”に関わらず、練習中もお互いによく声をかけ合う雰囲気があるんです。後輩から指摘してもらうこともありますから」
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- 気づいたことを何でも言い合える関係なんですね。
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千葉
「そういった部の雰囲気は、自分の力が伸びるきっかけになったと思います。下級生の頃も先輩たちと仲が良かったので、気軽にアドバイスを聞きに行くことができました」
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谷川
「後輩からも“こうした方がいいんじゃないですか?”と言える環境じゃないと、個人としても部としても強くなっていけないと思うんです。だからこそ、このような環境が重要なんだと思っています」
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栄養学などの授業を競技に活かして
- 部活だけではなく授業も大学生活の一つですが、どのように過ごしていましたか?
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谷川
「スポーツ健康科学部では、自分で選択できる授業があるのですが、お互いに“同じ授業を取ろうよ”と言って選ぶことが多かったです」
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萱
「テニスやバスケットボールとか一緒に受けたよね」
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谷川
「ほとんどの授業が一緒っていうくらい仲が良かった」
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千葉
「朝9時から午後4時過ぎまでが授業で、そこから練習なので、一日中一緒ですね(笑)」
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萱
「栄養学やリハビリなど、僕たちの競技に直接関わるような授業も受けていました。そこで学んだことは、競技にも活かせていると思います」
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千葉
「個人的には、スポーツに向いている食品について学べた授業が面白かったですね」
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谷川
「たとえば……(千葉選手を見る)」
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千葉
「カステラ!」
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萱
「スポーツ中の栄養補給に合っている食べ物なんだよね?」
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千葉
「そうそう!」
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谷川
「“競技中の食事はどうすればいいか”とか、学んだことを考えて活かすようにしています。そういえば、昼ごはんを食べに、よく一緒に学食に行くよね(二人の顔を見る)」
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萱
「そうだね。食事中にも気づけば体操の話をしていることが多いです」
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千葉
「朝9時から午後4時過ぎまでが授業で、そこから練習なので、一日中一緒ですね(笑)」
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萱
「栄養学やリハビリなど、僕たちの競技に直接関わるような授業も受けていました。そこで学んだことは、競技にも活かせていると思います」
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千葉
「一緒に過ごす時間が長いと、普段の生活からいろいろな意見を聞けるので、競技に良い影響があるのかなと思っています」
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萱
「そう考えてみると、大学生活のどこまでがプライベートで、どこまでが「体操」かというのが、分からないです(笑)。いつでも体操のことを考えています。二人とは体操競技部の寮でも部屋が隣同士なので、時間があると部屋に遊びに行くこともよくあるんです」
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谷川
「(萱選手を見て)だってインターホンを押さないで部屋に入ってくるぐらいだもんね」
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千葉
「僕も“あっ、来た来たっ!”って感じで迎え入れてます(笑)。遊ぶ時は遊ぶ時で、上手くオンとオフを切り替えられていると思います」
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萱
「一緒に生活するようになると、2人の知らない一面も知れて、すごく楽しかったですね」
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体操競技場のリニューアルと実績ある指導陣
- 2017年4月に、練習場となる体操競技場がリニューアルされたそうですね。
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萱
「3年生の時にリニューアルされました。競技場が広くなって冷暖房が完備されただけでなく、すべての器具が新しくなったんです」
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谷川
「以前の競技場と比べると、約2倍の広さになりました」
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千葉
「器具が増えたことによって、練習中の待ち時間が本当に少なくなったんです。そうすると試技回数が増えて、練習もとてもはかどります」
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谷川
「あと、以前は跳馬も1つしかなく、試合時とはマットも違っていたのですが、今は3つに増え、マットも試合と同じような環境になりました。難易度の高い技もどんどんチャレンジできています」
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- 順大と言えば、原田睦巳監督、冨田洋之コーチらと指導陣の実績も素晴らしいです。
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萱
「オリンピックを経験しているお二人なので、その時の心持ちなど、お話を聞けるのは大きいと思います」
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谷川
「順大体操競技部として、これまで何度もインカレや全日本で優勝してきた実績がある分、試合前に監督に言われた“チャンピオンチームの名に恥じない試合をしよう”という言葉には重みがあり、本当に気が引き締まりました」
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- 原田監督は「強く美しい体操」をモットーに掲げているそうですが。
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谷川
「美しいだけではなく、力強さを感じさせること、そして結果も出さなければいけない。そういった意味で、強い選手でないといけないという価値観なんです」
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千葉
「“勝てる選手”という意味も込められています。自分自身、学年が上がるにつれて「自分で考えて強くなろう」と、どんどん力を磨いていきました」
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萱
「体操選手は誰しもが美しい体操を目指します。でも、その綺麗な演技だけではなく、ミスのない、そしてプレッシャーのかかる場面でも強いメンタルを持って決められるような選手になろうと、僕自身も4年間やってきました」
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団結して勝ち取った全日本団体選手権3連覇
- 昨年11月に行われた全日本団体選手権では、大学初の3連覇を果たしました。
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萱
「大学最後の大会だったので高いモチベーションを持って臨みました。夏のインカレでは優勝できず、部員全員が悔しい思いをしていたので、なおさらです」
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千葉
「夏のインカレの時のような気持ちはもう味わいたくないと、強く思っていました」
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谷川
「練習でも失敗しない、と気合を入れていたので、その結果が3連覇につながったのだと思います」
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萱
「みんな練習から本当に熱が入っていて、すごくキレのある動きをしていたので、“本番は大丈夫だろう”と密かに思っていました」
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谷川
「試合前に、円陣を組んで“行くぞ!”と声を掛けあったのも強く覚えています。あのタイミングでもう一度団結できたのも、力になったのかな」
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千葉
「それぞれが力まず、プレッシャーもなくできたね」
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萱
「4年間の総決算として、全員がミスなく大差で勝てた。この上ない終わり方だったので、大学生活で一番嬉しい瞬間だったかもしれません」
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- 2019年は、東京五輪の前年という大事な年になります。目標は?
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千葉
「まずは2019年の世界選手権、2020年の東京五輪の代表入りが目標です。それは3人とも……(互いに顔を見合わせて)」
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萱
「同じだよね。そして来年、再来年と代表に入り続ける、そして世界で勝てるような選手になりたいです」
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谷川
「東京五輪では結果を出したい。目指すのは金メダルです」
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2人が頑張っていると負けていられない
- 3人は同学年であり、ライバルという貴重な関係です。
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千葉
「ずっと高校生の時から競い合ってきていますからね」
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萱
「これからもお互い切磋琢磨していきたいです。今後の日本の体操を引っ張っていく気持ちを持って、新しい歴史を作るために頑張りたいですね」
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谷川
「自分の調子が良くない時に、2人が頑張っていると負けていられないという気持ちになります。彼らが頑張ることで、僕も頑張れる。常にお互いに刺激し合っている、いい関係なんじゃないかなと思います」
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- 最後に皆さんが感じている順大の魅力についてお聞かせください。
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萱
「順大の良さは勉強もしっかりとできて、競技に活かせることを学べるところ。また他の部活でも活躍している選手がたくさんいるので、毎日が刺激的だと思います」
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谷川
「自分自身もそうですが、教員を目指している人にとっては、教員免許が取れるのも魅力です」
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千葉
「勉強とスポーツを両立させて集中するには、申し分ない環境だと思います。他にも、大学の外でもいくらでも走れますし……」
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萱・谷川
「あれっ、健太って外を走ったこと、あったっけ?」
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千葉
「(笑)。スポーツにおいても勉強においても、わからないことがあれば何でも先生方に聞きやすいです。学生と先生との距離が近い、とても良い環境だと思います」
【interviewer:茂野聡士】
※本記事のインタビューは、2018年12月に実施したものです。
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