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2022.06.15

データサイエンスの興隆をもたらしたものとは?【データサイエンスの未来】

今回から「データサイエンスの未来」という連載が始まります。その第1回として、データサイエンスの今日の興隆をもたらしたものは何かを紹介しましょう。分析してみると、次の4つの発展がその背景にあります。(健康データサイエンス学部(仮称)設置準備室 特任教授 姫野 龍太郎)

4つの発展

1) 機械学習等の解析手法の技術的発展
2) 通信と解析の処理速度の向上
3) デジタル化されたデータ量の増大
4) 良い活用事例が増加

まず、データの解析技術の発展、特に深層学習に代表される機械学習の発展が今のAIブームをもたらし、データサイエンスの興隆に寄与したのは間違いないことでしょう。
それを支えたのは通信と解析処理の速度向上です。通信は大量のデータを高速で短時間に送ることができるようになってきています。同時にデータ分析の処理を行うコンピュータの演算処理能力も着実に進歩し、短時間での処理を実現しています。

データ量に関していうと、デジタル化されたデータ量が飛躍的に増えてきています。これはスマートフォンやsuicaやpasmoなどの非接触式ICカード、電子化された改札口、コンビニやスーパーや小売業での会計情報、バーコードやQRコード、無線ICタグなど、いろいろなセンサーによって、人の暮らしの様々なものがデータ化されるようになってきました。新型コロナウイルス感染症のニュースの中で、渋谷駅周辺の人出が1週間前に比べて、何%増えているなどと報道されていますが、これなどはスマートフォンの位置情報を元にしたもので、コロナ以前では予想できない使われ方でしょう。一方で、病院でのCT/MRIや、生化学実験などのハイスループット化、ゲノムデータの高速な読み取りなど、計測器が急激に進歩し、短時間で膨大なデータが生まれてきています。
この多様なセンサー類とそれらのデータが常にネットワークに接続されていて、実時間で得られることが、活用事例の幅の広さを支えています。

 
このデータ量の増大と通信・解析の処理速度向上を背景に、近年の機械学習の進歩によって、これまで人を必要とした様々な知的な仕事がコンピュータに置き換えられようとしています。その動きは、将棋や囲碁であったり、医療画像の診断であったり、車の自動運転であったり、実に様々な分野で応用が行われ、良い結果をあげています。現在のデータサイエンスの興隆は、その応用分野で良い結果を出している種々の活用事例が引っ張っています。
こうしてみると、まだまだデータサイエンスは広がっていきそうですね。

※本記事は学内報「順天堂だより」322号(2022年5月号)の「データサイエンスの未来(第1回)」の記事をもとに再構成したものです。記事の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

【健康データサイエンス学部HPはこちら】

URL:https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hds/

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